トピックス

神戸大学国際文化学部と附属学校との連携授業を行いました

 神戸大学と附属学校との連携授業も、今回で7回目となりました。
 今回は、国際文化学部のご協力の下、平成25年3月9日(土)に六甲台地区にある鶴甲第1キャンパスの国際文化学部F棟401において開催し、附属小学校5年生から附属中等教育学校4年生までの希望者及び保護者約150人が大学の先生の授業を受けました。
 現代文化論・先端社会論講座の小笠原博毅准教授には、「海賊が作った私たちの世界?」というテーマで授業をしていただきました。「社会学」という個人と社会との関係を研究する学問の観点から、1680年~1720年頃のカリブ海の海賊独自の文化と現代社会との関係について、海賊をテーマにした漫画「ONEPIECE」の登場人物が、実在する海賊をモデルにしていることなどのストーリーも交えながらお話しいただき、子どもたちは知っているようで知らない海賊の世界に引き込まれていました。海賊の社会では、『自由・平等・友愛』を掲げた「フランス革命」より100年も前に、既に国や民族の違いに関係なく、お互いの能力を認め協力したり、意見を交わしたりという民主主義社会の基礎が形成されていたことなどを学びました。そして、最後には、一般的には「フランス革命」を皮切りに、民主的社会が形成され世界に広まったと言われているにもかかわらず、現代社会においても、なお、国や地域や民族などによって差別があったり、紛争が絶えなかったりするのはどうしてだろうかという問いかけがあり、子どもたちのみならず、私たち大人も考えさせられる一幕でした。
情報コミュニケーション論・感性コミュニケーション論講座の定延利之教授には、「人間の声はナゾだらけ」というテーマで授業をしていただきました。私たちがより便利に暮らせるように、ロボットやコンピューターの音声認識について研究がなされていることについてお話しいただきました。人間型ロボットの話す様子や日本語・英語・中国語といった言語ごとに異なる口内の様子などについて、動画や音声資料を用いて説明があり、子どもたちは耳をすまして聞き比べたり、発音をまねしたりしながら興味深く聞き入っていました。私たちは普段何気なく言語を使っていますが、「言語学」の観点から分析していくと、国や地域による文化の差によって、発音や意味が違ったり、受ける印象が異なったりしていてとても複雑な構成であり、人間型ロボットや音声認識ソフトが、人間同士の会話のように、違和感なく話したり聞いたりすることがなかなか難しいということを学びました。また、現在、世界にある数千の言語のうち、その9割は、21世紀のうちに絶滅の危機に直面しているという事実に会場中が驚いていました。

           

                              小笠原准教授の授業の様子 

 

        

                                 定延教授の授業の様子

 

~授業を受けた児童生徒の感想~

○小学校5年生-「あまり気にしたことのなかった社会のルールや考え方、ふだん使っている言葉に

           ついて、よく考えてみると、不思議なことや知らなかったことがたくさんありました。

           おもしろかったです。」

○小学校6年生-「海賊が「自由」や「平等」の礎となっていることや、世界の9割の言語が絶滅危惧と

           いうことがわかり、驚きでいっぱいでした。」

○中等教育学校1年生-「小笠原先生の授業では、社会の環境と個人の気持ちを比べて、これからの

               社会などいろいろな環境について学びました。定延先生の授業では、機械の

               声と人間の関係性について考えさせられました。機械の声は興味がありまし

               たが、それがより深まっておもしろかったです。」

○中等教育学校2年生-「しゃべるロボットは、声が出ない人のためであって、自分には関係ないこと

               だと思っていたけれど、いつか指先などが自由に使えなくなったときに、必要

               になってくるということを知りました。」

○中等教育学校3年生-「普段の学校の授業では、過去のことを学んでいるが、今回の授業では、             

               現代に起こっていることから未来を見ているなと思いました。」

○中等教育学校4年生-「海賊などの自由な発想がヨーロッパの革命につながり、現在の私たちの   

               比較的自由で平等な社会が築かれたと知って驚きました。大学は難しい勉

               強が多そうだと思っていたので、今回の授業のように、とても興味深い内容

               があると知って、今までよりも、大学に関する意欲がわいてきました。」

 

 

 授業後には、附属中等教育学校の生徒29人が、「研究室見学コース」・「実習体験コース」の2つのコースに分かれて見学をしました。
 小笠原博毅准教授の「研究室見学コース」では、「海賊とサッカーの世界へようこそ?!」をテーマに、一人ひとりが、授業を受けての感想や自分の考えを述べたり、研究室にある本などの研究資料についての質問をしたりしました。なかなか立ち入る機会のない研究資料あふれる研究室で、大学の先生と意見交換をするといった状況に、緊張している様子も見られましたが、小笠原准教授の親しみのあるお話ぶりに生徒たちも楽しい時間を過ごすことができました。
定延利之教授の「実習体験コース」では、「声を作ってみよう」というテーマで、PRAAT(プラート)という音声分析と加工用のソフトウェアを使い、自分の名前や「こくさい(国際)」といった言葉を自分の声で録音して、声を観察したり編集したりしました。音声を分析したり加工したりと初めて体験する内容に苦戦している生徒もいましたが、大学生に手伝ってもらいながら最後まで挑戦し、定延教授手作りの修了証書をいただきました。
 いずれのコースも、附属中等教育学校の生徒にとって非常に貴重な体験となりました。


                                 

                              小笠原准教授の「研究室見学」の様子

 

        

                              定延教授の「体験実習」の様子                

    

~見学に参加した生徒の感想~

●小笠原准教授の「研究室見学」-「実際に、大学の先生と社会問題になっていることなどについて自分

                      が考えていることを話したり、先生の意見や友だちの意見を聞いた

                      りすることができて、とても貴重な時間でした。大学の先生の研究

                      室には、見たことのないものがいっぱいあって、とてもおもしろかっ

                      たです。」(中等教育学校3年生)

                      「海賊という一般的に見たら反社会的な存在のものでも、異なる視

                      点から見るとおもしろい組織になっているということがわかりました。

                      また、先生のお話を聞いて、自分の好きなものから視野を広げて世

                      界などについて考えていくことは、すごく大切でおもしろいことだなと

                      思いました。」(中等教育学校3年生)

                      「海賊は人々を民族差別するのではなく、能力で人を判断する広い

                      心を持っているということに驚きました。私は、今、Kobeプロジェクト

                      (卒業研究)で日本人の考え方(礼儀)について研究しています。来

                      年度もこのテーマをもっと深く研究しようと思っているので、今回お

                      聞きした内容を、この研究に生かしていきたいと思います。」(中等

                      教育学校4年生)

●定延教授の「体験実習」-「自分の声をパソコンとマイクで編集しながら「国際」から「最高」を作り,「くさ

                  い」も作りました。パソコンで自分の声を使ったのが初めてだったので新鮮

                  でした。」(中等教育学校1年生)

                  「パソコンのソフトを使って、声を編集していろいろな声を作ることができま

                  した。音を切ってつないだり、そのつないだ言葉の高さを調節したりできて

                  とても楽しかったです。自分の名前を逆から言うときは、うまく逆再生で聞

                  こえたり、あまりうまく聞こえなかったりするときがありましたが、とても貴

                  重な体験ができました。」(中等教育学校2年生)

                  「音の高さや長さを変えると、録音した声がどんどん変化しておもしろかっ

                  たです。また、1つの言葉から音を抜き取って違う言葉に変えると、普段

                  全く気付かない、わずかな音が集まって1つの文字になっているという発

                  音の不思議や、授業の中でもあったように、機械の声を使ってやりとりを

                  するのはとても難しいことが、声を加工していく中で感じられました。言語

                  は大切な文化なので、それを守るために、これからもたくさんの研究が必

                  要なのだと思いました。」(中等教育学校3年生)

                                                                  (附属学校部)